2025年8月30日(土)から9月1日(月)の3日間にわたり,教育システム情報学会第50回全国大会を早稲田大学早稲田キャンパスにて開催しました.まずは素晴らしい会場を快くご提供くださった早稲田大学の皆さまに,心より感謝申し上げます.また,参加者の皆さま,シンポジウム等の登壇者の皆さま,展示・後援・協賛をいただいた企業・団体の皆さまに,厚く御礼申し上げます.
大会には436名,懇親会には228名にご参加いただき,今大会が研究成果の発表を通じた学術的な交流の場として,また皆さまのご縁をつなぐ・深める機会として機能したものと思います.また土曜・日曜を含む日程とするとともに,オンライン発表セッションを実施することで,多様な参加・発表形態のニーズに応えることを目指しました.
教育システム情報学会では,昨年の第49回全国大会から今回の第50回全国大会までの1年間を,学会創立50周年を記念したさまざまな事業を実施する期間と位置づけていました.今大会では50周年記念事業特別委員会の協力のもと,50周年イヤーの締めくくりにふさわしい3つのシンポジウムを実施いたしました.
大会初日には「教育システム情報学の”温故知新”」と題して,創設期から本学会を支えご活躍されてきた先生方(パネリスト)4名と,気鋭の若手研究者(指定討論者)2名による討論が行われました.パネリストからは,本学会の歴史的な経緯を踏まえた将来像をお示しいただきました.また,指定討論者とフロアからの本学会の意義・アイデンティティについての問いに対して,真摯にお答えいただきました.
大会2日目には「中学の技術・家庭(技術分野)D編から高校の情報Iへ,情報Iから大学のDS教育へ」と題して,7名のパネリストを迎えて中学・高校・大学の情報教育の連携についての議論が行われました.中・高・大での情報教育を適切に接続することの重要性と,それぞれの校種に対して教授・学習支援システムでどのような支援を行えるかという点について,参加者の皆さまを含めて共有できたものと思います.
大会3日目には「私が考える教育システム情報学の「教科書」」と題して,4名のパネリストを迎えて「教育システム情報学」が扱い,解決すべき諸問題について考えるとともに,このことをどのように伝えていくかを議論する場をもつことができました.このシンポジウムでは,教育システム情報学で扱うべき対象の広さを改めて認識するとともに,本学会への入口となる「教科書」と,より専門的な「教科書」に対する期待が大きく膨らんだものと思います.
これらのシンポジウムは,オンラインでの参加も含め大会参加者以外にも広く公開され,多くの方にご参加いただきました.本学会の創立以来51年間の中で議論されてきた教育システム情報学に関する諸課題とその解決に向けた議論を,学会内外の多くの方々と共有できたことを大変うれしく思います.
また,本大会では口頭(一般・企画)セッションとインタラクティブセッション,学生研究特別セッションが開催されました.口頭発表 142件(企画セッション 56件,一般セッション 86件(うちオンライン発表 6件)),インタラクティブ発表 41件(一般 28件,学生研究特別セッション 13件)の計183件を数えた発表件数は,2020年にコロナ禍の中で開催した第45回大会以来,最多となりました.
発表申し込み時に選択していただく分野のうち,特に多く選択されたものは「先進的学習支援」,「学習評価・アセスメント」,「学習者特性・行動分析」,「初等中等教育」,「プログラミング教育」でした.昨年と比べると新たに「学習評価・アセスメント」と「初等中等教育」が入っており,これらの分野についての注目が高まっていることが推測できます.また,記入いただいているキーワードでは,「生成AI」,「AI(人工知能)」,「授業実践」,「外国語学習」などが多く見られました.昨年よりもさらに生成AIおよびAIのキーワードが記入された発表が多くなり,最近の研究動向をよく表しているものと思います.このような技術的なキーワードに加えて,授業実践や外国語教育のような実践に関するキーワードや学習ドメインに関するキーワードが多いことは,本学会の特徴を反映しています.
今回は大会期間の前後も含め,猛暑日が続く中での「暑い」大会となりましたが,シンポジウムや研究発表での「熱い」議論と,懇親会などでの参加者間の「厚い」つながりを醸成する場として機能したものと思っています.
次回の第51回大会を,2026年9月12日(土)から9月14日(月)に徳島大学常三島キャンパスにて開催する予定です.多くの方のご参加をお待ちしています.
末筆になりますが,今回の大会運営を担っていただいた松居辰則先生はじめ現地実行委員会の皆さま,学生アルバイトの皆さま,大会委員の皆さまの献身的なご尽力に心からの感謝の意を表して,この報告を終えたいと思います.
全国大会委員会 委員長 國宗 永佳(千葉工業大学)